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花火写真の撮影におけるNDフィルターの役割と選び方

おーわ
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花火系散歩屋のおーわ(@mof_mof08)です。

花火写真の撮影で課題となる露出オーバー(白飛び)対策の一つとして、NDフィルターを併用する方法が挙げられます。

ところがNDフィルターは種類が多く、花火写真の撮影にあたってどんな製品を選べば良いか分からない方もいらっしゃるかと思います。

本記事では花火撮影におけるNDフィルターの役割と選び方について、なるべく分かりやすく解説していきます。

NDフィルターとは

本題に入る前に「そもそもNDフィルターってなんぞや?」という質問が3名ぐらいから飛んできそうな気がしますので、ここでざっくりと解説いたします。

NDフィルターとは発色に極力影響を与えず(Neutral)、カメラのイメージセンサーに入ってくる光の量(Density)を減らすためのフィルターです。

早い話がカメラ界のサングラス的な製品だと思っていただくと、なんとなくご理解いただけるんじゃないかなと思います。

NDフィルターは製品によって濃度(減光の度合い)が異なり、一般的にND+数字で表現されます。

種類ND4(0.6)ND8(0.9)ND16(1.2)
光量1/41/81/16
絞り段数(EV数)2段(-2EV)3段(-3EV)4段(-4EV)
透過率25%12.5%6.25%

数字の部分は減光効果を示していて、単純に数が大きいほどカメラへ入ってくる光の量が減少します。(ND4であれば光量が1/4に、ND8であれば光量が1/8になる)

NDフィルターの中にはND0.3、ND0.6、ND0.9のように、10のべき乗指数で濃度を示す製品があります。(参考:NDフィルターの0.3、0.6、0.9とはどういう意味ですか。 | ナックイメージテクノロジー)

NDフィルターの主な利用用途としては以下のようなものが挙げられます。

  • 明るい環境でシャッタースピードを落として流れを表現する(滝、清流など)
  • 明るい被写体に対して露出オーバーを防ぐ(花火など)

NDフィルターを用いることで、カメラ単体では難しかった表現や露出オーバーへの耐性などが大きく向上します。

花火写真におけるNDフィルターの役割

花火写真におけるNDフィルターの役割は大きく以下の2点となります。

  • 露出オーバー対策
  • 回折現象対策

花火写真の撮り方講座〜第8章 主な失敗例と対策方法〜で触れていますが、花火写真の失敗の一つに露出オーバー(白飛び)があります。

露出オーバー(白飛び)した花火写真の例

少々の露出オーバーであればレタッチを駆使して救い出せる可能性がありますが、上の写真のように盛大にぶっ飛んでしまうと手の施しようがありません。

参考までに、花火写真の撮影における露出オーバー対策としては大きく以下の3つがあります。

  • 絞りを絞る
  • NDフィルターを併用する
  • 1シーンを分割して撮影した上で合成処理を施す

絞りを絞る(F値を大きくする)のが最も手軽な対策ですが、絞りすぎると回折現象(小絞りボケ)が起こり、写真全体の解像度が落ちてしまいます。

露出オーバーと回折現象を同時に防ぐためにはどうすれば良いか…そこで威力を発揮するのがNDフィルターです。

例えばF8.0、ISO100に設定したカメラに対してND4フィルターを装着すると、F8.0のまま2段分(F16相当)の減光効果を得られます。

NDフィルターの併用することにより、花火写真で課題となる露出オーバーと回折現象の両方に対応できるというわけです。

花火撮影に使うNDフィルターの選び方

花火撮影に使うNDフィルターを選ぶにあたってのポイントはざっくり以下の3点となります。

  • 濃度
  • 減光効果のかかり方
  • 形状

ひとくちにNDフィルターといっても濃度や形状がさまざまあり、使用するカメラやレンズ、花火大会の規模や撮影場所の環境などによって最適なNDフィルターが変わってきます。

濃度

NDフィルターの濃度はお使いのカメラのベース感度や花火の大きさなどによって異なってきますが、おおむねND4~16あたりが個人的におすすめです。

もう少し紐解くと、以下の通りとなります。

ベース感度推奨濃度
ISO100ND4〜8
ISO200ND8〜16

花火写真において見た目にほど近い明るさを得るためには、おおむね以下が目安となってきます。(NDフィルターなしの場合)

  • 絞り:F8.0
  • シャッタースピード:4~8秒程度
  • ISO感度:100
適正露出の例(F8.0、SS5.5秒、ISO100)

花火写真の撮り方講座〜第1章 撮影における基本〜でも触れていますが、花火大会によって打ち上がる花火の大きさが異なります。

花火の大きさが異なれば、求められるシャッタースピードも大きく変わってきます。

花火の大きさシャッタースピード目安
4号玉約5秒
5号玉約10秒
8号玉約12秒
10号玉(尺玉)約15秒
20号玉(二尺玉)約20秒
30号玉(三尺玉)約25秒

さて、先ほど花火を見た目に近い明るさで撮るためにはF8.0、シャッタースピード5秒、ISO感度100が目安だと紹介しました。

これに当てはめると、4号玉の単打ち花火であればNDフィルターがなくても白飛びのリスクはそれほど大きくない計算になります。

ところが10号玉(尺玉)になるとシャッタースピードがおよそ3倍、すなわち1.5段明るい(+1.5EV)計算となります。

絞りをF13〜14程度(ベースISO感度が200の場合はF18〜20)にすると露出オーバーを抑えられる計算になりますが、先述で触れたように絞りすぎると回折現象によって写真全体の解像度が落ちてしまいます。

NDフィルターを用いると絞りをそれほど絞らずに露出オーバーを防げるため、回折現象による画質低下のリスク低減につながります。

NDフィルター絞り(ISO100)絞り(ISO200)
なしF13〜14F18〜20
ND4F6.3〜7.1F9.0〜F10
ND8F5.0〜5.6F6.3〜7.1
ND16F3.5〜4.0F5.0〜5.6

スターマインは上記よりもシャッタースピードがより長くなる傾向にあります。

上記はあくまでも単打ち花火の場合の話であり、スターマインは単打ちと比べてシャッタースピードがより長くなる傾向にあります。

また、花火そのものの明るさによってはNDフィルターを使用しても白飛びする可能性があります。

NDフィルターの濃度は打ち上がる花火の大きさとカメラのベース感度を踏まえた上で、ND4~16の範囲で選ぶのが個人的におすすめです。

減光効果のかかり方

全面に減光効果がかかるNDフィルター(写真左)とハーフタイプのNDフィルター(写真右)

続いて、減光効果のかかり方については以下を軸に選ぶのが良いでしょう。

  • 花火のみを撮影する場合:全面タイプ
  • 花火+副題を撮影する場合:ハーフタイプ

花火をメインに撮影する場合は減光効果が全面にかかるNDフィルターがオススメです。

特徴はざっくり以下の通り。

  • 花火の白飛びを抑えられる
  • 副題が黒つぶれする可能性がある
  • 幅広いシーンで使える
  • セッティングが容易
  • 比較的安価なねじ込み式が選べる

導入の敷居がそれほど高くなく、被写体の花火に対して手軽に減光効果をかけられるのが大きな魅力です。

一方で花火+副題(観客席など)を撮影する場合はハーフNDフィルターがおすすめです。

特徴はざっくり以下の通り。

  • 花火の白飛びと副題の黒つぶれを同時かつ効果的に抑制できる
  • 利用に適したシーンがやや限定される
  • セッティングに慣れが必要
  • 基本的に角形一択のため導入費用が高価

セッティングおよび導入の敷居がやや高いため中上級者向けになりますが、花火+副題の構図で収める際に威力を発揮してくれるのが強みです。

ハーフNDフィルターにはいくつかの種類がありますが、特にリバースタイプの製品はスターマインでよく見られる非常に明るい小型煙火の白飛びを効果的に抑えてくれるので、花火のみを撮影する場合においても有効です。

あわせて読みたい
花火写真の撮影にハーフNDフィルターってどう?使用時の効果や注意点は?
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NDフィルターの減光効果については副題の有無と撮影するロケーションを軸に選択するのがベターです。(あまり使い慣れていない方は全面に効果がかかるタイプがオススメです)

形状

円形(ねじ込み式、写真左)と角形(写真右)のNDフィルター

NDフィルターの形状は大きく以下の3つがありますが、使用するレンズや減光効果のかかり方によって適するものが異なります。

形状全面タイプハーフタイプ
円形(ねじ込み式)
角形
リア×

円形フィルターはレンズ前面に取り付けるタイプの製品の一つで、減光効果が全面にかかるNDフィルターの主流となっています。

家電量販店などでも広く流通している製品で、たいていのレンズで利用できるのが最大の特徴です。

価格も後述する角形フィルターやリアフィルターと比較して安価なのも嬉しいところです。

円形タイプにはハーフNDフィルターもありますが、減光する箇所を調整しにくいためあまりオススメしません。

角形フィルターもレンズ前面に取り付けるタイプの製品の一つです。

前述で紹介した円形フィルターに対応したレンズに加え、専用のホルダーを介すことで円形フィルターが取り付けられない一部のレンズにも装着できます。

また、ホルダーに付随するアダプタリングを活用して複数のレンズ径に対応できる取り回しの良さも魅力です。

ハーフNDフィルターを使用する場合も減光効果がかかる位置を調整できる角形フィルターがオススメです。

リアフィルターは先に紹介した円形フィルターや角形フィルターと異なり、レンズマウント側に取り付けるタイプの製品です。

全体に減光効果がかかる製品に限られますが、円形フィルターや角形フィルターが取り付けられない一部の広角レンズでも減光効果が得られるのが魅力となっています。

減光効果のかかり方、レンズやカメラによって求められる形状が変わってきますので、適切な製品を選んでいきましょう。

NDフィルターが装着できないレンズもある

花火写真の白飛び回避に一役買うNDフィルターですが、レンズの形状によっては装着できない場合があります。

特に花火写真の撮影で使用頻度が高い超広角レンズ(魚眼レンズを含む)に意外と多かったりします…。

NDフィルターを導入するにあたっては、お使いのレンズにフィルター類の装着ができるかどうかあらかじめ確認するようにしましょう。

別売りの専用ホルダーを装着することで、フィルターの取り付けが可能な場合もあります。

まとめ

本記事では花火写真の撮影におけるNDフィルターの役割と選び方について解説してまいりました。

NDフィルターを併用することで、代表的な失敗として挙げられる白飛びのリスクを効果的に低減できるようになります。

濃度はベース感度が100のカメラをお使いの方はND4〜8、200の方はND8〜16あたりがおすすめで、撮影シーンによってはハーフNDフィルターも威力を発揮します。

なお、一部の広角ズームレンズや魚眼レンズにはフィルターの取り付けができない場合がありますので、お使いのレンズがフィルターの装着に対応しているかどうかをあらかじめ確認した上で導入するようにしましょう。

最後までご覧いただき、ありがとうございますm(__)m

この記事を書いた人
おーわ
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花火系散歩屋(花火鑑賞士)
至高の花火を求めて各地を旅しています。
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