花火写真の撮り方講座〜第1章 準備編〜
花火大会の様子や魅力を伝えるにあたり、写真は非常に有効な手段となります。
花火写真の撮影をしてみたい、あるいは既に何度か経験しているけど…
- 撮影するにはどんな機材や準備が必要なの?
- カメラの設定ってどうすれば良いの?
- 綺麗に撮る方法はあるの?
とお嘆きの方が、僕の他に3名ぐらいいらっしゃるかと思います。
本記事では主に花火写真の撮影が初めての方、納得のいく写真がなかなか撮れないと感じている方向けに、撮影の基本について全4章の講座形式で解説いたします。
第1章では撮影にあたっての心得、必要な機材、撮影場所の選び方といった事前準備に関わる部分について紹介してまいります。
撮影にあたっての心得
花火写真を撮影するにあたり、まずは押さえておきたい心得が二つあります。
それは…
- 撮影者本人が花火を全力で楽しむ
- 写真はあくまでも伝えるための手法にすぎない
ということです。
花火大会に限った話ではありませんが、本人が心から楽しめているものや気に入っているものは自然と誰かに伝えたくなります。
本記事をご覧の皆さんも、自分が愛用している製品やイベントなどを友人や家族に何らかの形でおすすめした経験があるんじゃないかなと思います。
他者へおすすめするための方法としては会話や文章などいくつかありますが、写真も魅力を伝える一つの有効な方法となります。
特に写真は視覚に訴える手段としてはかなり有効で、文章だけでは伝わりにくい花火の色や繊細さを伝えるのに効果的です。
さらに、撮影した写真を使って花火の魅力を伝えようとした際、その大会の歴史的な背景や象徴するシーンを把握していれば、伝える情報により深みが増します。
まずは全力で目の前の花火大会を楽しんでいただき、そのときに感じた魅力を伝える一つの手段として写真を活用していただければと思います。
撮影に必要な機材を揃える
花火写真の撮影にあたっては以下5点の機材が必要になります。
- 一眼カメラ
- 交換レンズ
- メモリーカード
- 三脚
- リモコン
上記の他にNDフィルターやレンズヒーターなども用意しておくと、より質の高い花火写真の撮影につながります。
一眼カメラ

花火写真を撮るためには一眼カメラが必要になります。
ただし、どんな製品でも良いわけではなく、最低限下記を満たしている必要があります。
- バルブ撮影に対応している
- リモコン(有線が理想)に対応している
- 広角〜標準域に対応したレンズが使える
花火写真の撮影は打ち上がってから消えるまでを収めるのが一連の流れとなりますが、このタイミングが花火ごとにまちまちなのが特徴として挙げられます。
従って、シャッター開閉のタイミングを撮影者でコントロールできるバルブ撮影に対応した製品が必要になります。
また、数秒〜数十秒にわたって露光をする際、カメラ本体に直接触れると写真がブレるため、遠隔でシャッターが切れるリモコン(後述参照)に対応しているのも重要になります。
ちなみにリモコンには有線タイプと無線タイプがありますが、カメラによって対応するリモコンが異なります。
どちらでも撮影は可能ですが、ボタンを押下してからのタイムラグが少ない有線タイプに対応しているのが理想です。
花火は非常に高さのある被写体のため、特に花火との距離が近いメイン会場内で全景を収めようとすると画角が広いレンズが必要になります。
たいていの一眼カメラは標準域〜望遠域はサポートしているものの、広角域については満足にカバーしていないケースもあります。
近年では一部の高級コンパクトデジカメ、スマートフォンでも撮影自体は可能ですが、上記の要件から現状は一眼カメラを使用するのがおすすめです。
より詳しい選び方やおすすめの製品については下記の記事も参考にしていただければと思います。

交換レンズ

一眼カメラを使う場合、交換レンズが合わせて必要になります。
カメラのような制約はありませんが、個人的には以下の条件を満たしたものがおすすめです。
- 画角:メイン会場では広角〜標準域、会場外では標準〜望遠域
- 種類:ズームレンズ
- 開放F値:F4.0程度が目安
- フィルターの装着が可能
特にメイン会場での撮影で使用頻度の高い広角および標準ズームレンズの二本を用意すると良いでしょう。
より詳しい選び方やおすすめの製品については下記の記事も参考にしていただければと思います。

メモリーカード
内臓ストレージを持たないデジタルカメラでは必須のアイテムで、花火写真の撮影においては以下の2点が重要になってきます。
- 規格
- 容量
現在流通しているデジタルカメラのメモリーカードは大きくSDカードとCFExpressカードの二種類に分けられ、カメラによって利用可能な製品が異なります。
メモリーカードには規格や性能がいくつかあり、選んだカードによってカメラの性能を存分に発揮できなかったり、そもそもカード自体がカメラに対応していないケースもあります。
容量についてはお使いのカメラの画素数と記録形式によって異なりますが、過去の経験からおおよそ700〜800枚程度収められる製品を選択するのがおすすめです。
参考までにRAW(14bit圧縮なし)+JPEG形式での撮影した場合、1枚あたりのカードに収まる枚数(カット数)は画素数別におおよそ以下の通りとなります。
| カード容量 | 2400万画素 | 3600万画素 | 4800万画素 | 6000万画素 |
|---|---|---|---|---|
| 32GB | 520枚 | 347枚 | 260枚 | 208枚 |
| 64GB | 1041枚 | 694枚 | 520枚 | 416枚 |
| 128GB | 2082枚 | 1338枚 | 1041枚 | 832枚 |
| 256GB | 4164枚 | 2776枚 | 2082枚 | 1665枚 |
| 512GB | 8329枚 | 5553枚 | 4164枚 | 3331枚 |
| 1TB | 16659枚 | 11106枚 | 8329枚 | 6663枚 |
| 2TB | 33318枚 | 22212枚 | 16659枚 | 13327枚 |
例えば有効画素数が4575万画素のNikon Z7IIでRAW+JPEG形式で700〜800枚程度収めたい場合は、128GB以上の製品が欲しいところです。
お使いのカメラに規格が適合しているかつ容量を十分に満たせる(目安は700〜800枚程度)製品を選ぶようにしましょう。
万が一の容量不足や故障時に備えて、予備のメモリーカードも何枚か用意しておくと安心です。
三脚

長時間露光が前提となる花火写真の撮影では必須の機材で、以下の要件を満たした製品が個人的におすすめです。
- 素材:カーボン
- 耐荷重:搭載する機材による
- パイプ径:28mm以上
- 段数:3段 or 4段
花火写真を撮影するにあたっては打ち上がってから消えるまでシャッターを開け続ける必要がありますが、その時間(シャッタースピード)は数秒~数十秒と長くなります。
シャッタースピードは一般的に長ければ長くなるほど手ブレする可能性が高くなる傾向にあり、特に花火写真のように数秒〜数十秒ともなれば常人が手持ちで撮影するのは困難を極めます。
三脚にカメラを固定することで、シャッタースピードが数秒〜数十秒に至る花火写真の撮影においてもブレを大幅に低減できるようになります。
三脚については多種多様な重量、全伸高、価格の製品が販売されていますが、使用するカメラとレンズ、主たる交通手段、ご自身の体力などを考慮しつつ、なるべく安定性の高い三脚を選ぶと良いでしょう。
より詳しい選び方は、以下の記事も併せてご覧いただければと思います。

リモートコントローラー

花火写真の撮影においてはリモートコントローラー(リモコン)も忘れずに用意しておきましょう。
先述でも触れていますが、花火写真は長時間露光と呼ばれる技術を用いての撮影となります。
その際に直接シャッターボタンを押すとカメラに振動が伝わって写真がブレることがあります。
リモコンを用いるとシャッターボタンを直接押さずに撮影できるため、人為的な写真のブレを防げます。
購入にあたってはお使いのカメラがどのリモコンに対応しているかをあらかじめ確認した上で、選ぶようにしましょう。(タイムラグが少なさと操作性から有線リモコンがおすすめです)
【ほぼ必須】NDフィルター

露出オーバー(白飛び)防止に役立つ機材。
花火写真の撮影は長時間露光が前提となりますが、花火の光量によっては白飛びする可能性が十二分にあり得ます。
特に中間色を多用した花火やフィナーレでよく見る錦冠や銀冠は光量が大きく、カメラの設定だけでは露出オーバーを避けられないケースが多々あります。
露出オーバー対策はいくつかありますが、NDフィルターを併用するのが最も手軽かつ効果的です。
NDフィルターは花火写真の撮影における必須品ではありませんが、露出オーバー対策として個人的にはあった方が良いかなと考えています。
より詳しい役割や選び方については、以下の記事も併せて参考にしていただれば幸いです。

撮影場所の選定と情報収集をする
撮影場所の選定と情報収集も行なっておきましょう。
現地へ行くまでにやっておきたい事項としては大きく以下の2点が挙げられます。
- 撮影予定場所を選ぶ
- 撮影予定場所の情報を集める
- 当日の天候を確認する(特に風向き)
より詳しい情報は現地で確認する必要はありますが、事前に情報を持っておくとスムーズに進められるので、可能な範囲で情報を集めておくと良いでしょう。
撮影予定場所を選ぶ
撮影場所の選び方は非常にシンプルで、撮影者本人が花火観覧において魅力を感じる場所を選ぶのが良いでしょう。
すごくざっくりにはなりますが、近くで見る花火に魅力を感じる方はメイン会場、離れたところから見るのが好きな方は高台などのメイン会場外の大きく二択になってくるかと思います。
当日の風向き等に応じて戦略的に観覧場所を変える方は、メインとサブといった感じで複数の場所を候補に据えておくのも良いでしょう。
先述でも触れたように、写真の本質は伝えることにあります。
花火の魅力を最大限に伝えるためには、撮影者本人が最も魅力を感じる場所を選ぶのが大切です。
撮影予定場所の情報を集める
撮影予定の場所にある程度の目星をつけたら、可能な範囲で現地に関する情報を集めていきます。
特に重要となる情報は以下の3点となります。
- 三脚の利用可否
- 花火の打ち上げ場所
- 花火の大きさ(最大号数)
- 打ち上げ場所から撮影場所までの距離
まずは先述でも触れていますが、花火写真の撮影は長時間露光と呼ばれる技術を用いるため、三脚の利用が必須となります。
しかしながら三脚は通常よりも多くの場所を取るかつ他の通行の妨げになることから、設置が禁止もしくは適さない箇所があります。
三脚の利用可否については大会の安全な運営と自身の撮影可否に大きく関わってきますので、必ず確認するようにしましょう。
花火の打ち上げ場所、大きさ(最大号数)、撮影予定場所から花火までの距離も可能な範囲で調べておくと、当日にどの交換レンズを持参すれば良いか、焦点距離はどの程度に設定すれば良いかが判断しやすくなります。
現地でスムーズに立ち回れるようにするためにも、可能な範囲で事前情報を集めておきましょう。
当日の天気を確認する
花火大会は屋外イベントであるがゆえ、天候の影響を大きく受けやすいのが特徴として挙げられます。
確認しておきたいポイントとしては主に以下の4点となります。
- 気温
- 湿度
- 降水確率
- 風向・風量
降水確率(降雨、降雪)が高い場合は服装の調整や機材保護の保護、湿度が高い場合はレンズの曇り対策が必要かどうかを判断する重要なポイントとなります。
中でも風向きは非常に重要で、撮影者自身の立ち位置が花火に対して風上(追い風)か風下(向かい風)かで見え方に大きな差が生じます。


場所の特性上、一方向からしか観覧できない場合は泣く泣く諦めるしかありませんが、視認性を優先する方は自身が検討しているスポットが風上に近いかどうかを把握しておきましょう。
諸々の準備期間を考慮し、開催の3〜7日前ぐらいから定期的にチェックしておくと良いでしょう。
まとめ
本記事では花火写真の撮影における準備編と題し、撮影にあたって必要な心得、機材および撮影場所の検討方法について解説してまいりました。
写真は物事の魅力を伝えるための一つの手段で、花火の色や繊細さなどを伝える際に非常に威力を発揮します。
そんな花火を写真に収めるためには以下の5つの機材が必要になります。
- 一眼カメラ
- 交換レンズ(※特に広角〜標準域は必須)
- メモリーカード
- 三脚
- リモートコントローラー(※有線タイプ推奨)
撮影場所については撮影者本人が花火観覧において魅力を感じる場所を選ぶのがベストですが、三脚を利用した撮影に制限が設けられている場合もあるため、事前に確認するようにしましょう。
何はともあれ、まずは撮影者本人が心から花火を楽しむのが一番です。
第2章では当日の段取り(場所取り、ロケハンなど)、構図の考え方、カメラの基本的な設定について解説してまいります。

